リハビリテーション

外反母趾

概要

外反母趾とは、親指(母趾)が小指側に「くの字に」変形し、親指の付け根が内側に突き出てくる病気です。(図1、2)

図1 外反母趾/図2 骨格の変形様式

変形の初期段階(軽度~中等度)では、関節炎を合併し、歩行などの運動時に母趾に痛みを生じます。進行するにつれ、母趾の付け根がさらに突出し、母指の内側に胼胝(ベンチ;タコ)や、靴に当たって刺激を受ける事で“バニオン(Bunion)”という皮下滑液包炎を生じ、発赤(赤み)や腫脹(はれ)を伴い痛みが増悪します。さらにその突出部には神経が通っているため、神経が圧迫されることでしびれが生じることもあります。特に足幅に合わない靴を履いている状態では圧迫が強くなり、痛みやしびれなどの症状が増悪するケースが多く見受けられます。

外反母趾の進行は母趾の機能を損うだけでなく、隣接する関節にも悪影響を及ぼします。母趾が変形すると適切な荷重を母趾が受けることができなくなり、荷重が第2趾(人差し指)の付け根に偏ります。その結果、第2趾に関節炎や胼胝などを生じてきます。さらに曲がった母趾先に偏った体重がかかりつづけることで巻き爪(陥入爪)が生じやすくなります。(図3)

外反母趾は進行性の病気であり、母趾以外にも悪影響を及ぼしてくるので早期の対処が大切になります。

外反母趾の原因

外反母趾の原因は内的要因と外的要因に大別されます。外反母趾のように母趾が変形していく症状は母趾自体の原因ではなく“足全体の骨格構造“に原因がある事が多いです。

(1)内的要因

内的要因として最も多いのは扁平足など足の骨格構造に異常がある場合です。足には内側縦アーチ(土踏まず)と横アーチの構造があります。本来、アーチ構造は体重を支え、衝撃吸収や蹴り出しに貢献しています。しかし、アーチ構造が崩れてくると足の骨格に異常をきたしてきます。内側縦アーチの崩れと連動するように横アーチは崩れ、中足骨は扇状に広がり開張足を呈し、母趾中足骨頭が内側に突出してきます。このように扇状に足が崩れ易い足が外反母趾になりやすい足の形態と考えられています。その他に、母趾が第2趾より長い方、足が柔らかい(柔軟、関節弛緩)方、母趾の付け根の関節(中足骨頭)がレントゲンで見て丸い形をしていることも関与していると考えられています。

また、外反母趾になりやすい足の骨格や特徴は遺伝します。親が外反母趾の方は注意が必要です。

(2)外的要因

外反母趾の原因として有名なのがハイヒールなど先の尖った靴を履いていたことなどが挙げられます。これは外的要因の最大の要因の一つとされます。特にハイヒールは踵部分が高くなればなるほど前足部(指や指の付け根)にかかるストレスが増加すると言われています。(4.0cmで約1.5倍、9.0cmで約3倍)その結果、足の幅は横に広がろう(開張足)とします。しかしハイヒールは先端に行くほど細くなっているため指だけが外を向いてしまします。

また、靴の選び方、履き方の誤りが症状を増悪させる場合もあるので注意が必要です。特に多いのが、外反母趾が軽度の段階で突出部が当たって痛いからと普段よりも大きめのサイズの靴を購入する方が多くいます。さらに締め付けないように紐をしっかりと閉めないで靴を履いているため、歩く際足が靴の中で動いてしまい、靴との適合性が損なわれることで母趾含むつま先側の圧迫ストレスがより増強してしまうことも要因の一つとなります。

外反母趾の診断

外反母趾の診断にはレントゲン検査が有用です。母指の中足骨と基節骨の角度を外反母趾角(HV角)といい、外反母趾の重症度を診断する指標の1つになります。

HV角が20度以上になると外反母趾と診断され、HV角が20度~30度は軽度、30度~40度が中等度、40度以上が重度に分類されます。

母趾の関節炎の検査にはエコー検査(超音波画像診断)なども行うことがあります。

図3 巻き爪のリスク

図3 巻き爪のリスク

治療

外反母趾の治療としてはまずは内的要因と外的要因の原因となる部分を評価し、対応することが大切となります。治療の前には画像診断に加え、荷重時の足の崩れ、母趾の関節可動域、足部周囲の筋力など足の特徴をしっかり精査した上で治療方針を決定していくことが必要になります。

一般的に良いとされるセルフエクササイズも効果が保証されているのは軽傷の外反母趾のみです。変形が強くなった場合、逆に変形を 悪化させる原因にもなる可能性がありますのでまずは相談していただくことをお勧めします。

外反母趾の治療には運動療法(指の運動等)に加え、足構造の補正を目的としたインソールの使用を推奨します。運動療法には母趾だけでなく、アーチ部分や足首周囲の筋力や可動性を改善することにより除痛効果が期待できます。インソールを併用し、足部アーチの立体構造を支えることで、除痛や進行を予防することも可能です。また、履物(外的要因)に対しては適切な履物の指導、履き方の指導(生活指導)を行っていきます。このように個々の足の特徴に適した保存療法の選択をすることが大切です。

 

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